がんの治療を受けながら働く人は、男性約14万1千人、女性約18万4千人の計32万5千人に上るとみられることが、厚生労働省の推計で分かりました。同省が2010年の国民生活基礎調査を基に初めて集計し、17日に開いたがん患者の就労支援の検討会で報告しました。現役世代で新たにがんと診断される人が年間約22万人いるのに比べると就労者は少なく、治療と仕事を両立できる労働環境づくりの必要性が改めて浮彫になりました。

厚生労働省によると、がんの5年生存率は約57%まで上昇しているものの、がんになった労働者の34%が退職しているとしています。発症した労働者は、経済的負担に加え、職場の無理解などに悩まされているという実態があります。

検討会は、昨年閣議決定されたがん対策推進基本計画の目標に、「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」が新たに加わったことを受けて立ち上げられたものであり、今夏をめどに支援策を取りまとめるとしています。