全国に展開する靴の販売店、ABCマートが従業員に違法な長時間労働をさせていたとして、東京労働局過重労働撲滅特別対策班通称「かとく」は2日、労働基準法違反容疑で法人としての同社と、労務担当取締役店舗責任者2人の計3人を東京地検に書類送検しました。「かとく」は、いわゆるブラック企業対策の強化のため、今年東京労働局大阪労働局に2か所で4月に新たに発足した組織で、影響力の大きい大企業に絞って調査を進めていますが、送検を行うのは今回が初めてです

東京労働局によりますと、同社は昨年4~5月、都内の「Grand Stage池袋店」と「ABC―MART原宿店」で従業員計4人に対し、労使協定で定めた上限(月79時間)や法定労働時間を超える月97~112時間の残業をさせていた疑いがあるということです。いずれのケースも時間外賃金は適正に支払われていました。

同社は過去にも複数の店舗で長時間残業が横行しているとして是正勧告を受けていましたが改善が進んでいないということで、今回「かとく」は書類送検に踏み切りました。 同社の就業規則では、社員が早番と遅番のシフト制で勤務することが盛り込まれていましたが、実際には、複数の店舗で、2014年夏ごろまで、社員の多くが朝から夜まで働いているなど、シフト制が形骸化していたということです。

解説 過重労働撲滅特別対策班

東京労働局は、厚労省(国)の出先機関で、都内に18ある労働基準監督署をまとめる役割を担っている。東京労働局の「かとく」には、事業所に立ち入って調査・指導や摘発を行う「労働基準監督官」が7人配属された。監督官は「特別司法警察員」として、事業所への捜査を行い、検察庁に送検する役割も担っている。

そのうちのひとりによると、所属している7人は監督官歴10年以上のベテラン揃いで、長時間労働の問題に特に強い。パソコンのデータから不正を隠すための改ざんを見抜いたり、削除されたデータを復元したりする証拠収集技術「デジタル・フォレンジック」に詳しいメンバーもいるという。