大手スポーツクラブの支店の元店長の女性が、運営会社に残業代の未払い分など約650万円の支払いを求めた訴訟の判決が、今月6日、東京地裁であり、同社に約400万円の支払いが命じられた、との報道がありました。

女性は平成19年から支店長などとして勤務し、平成27年に退社。同社の就業規則では支店長は管理監督者とされ、月5万円の役職手当が支給される一方、残業代は支払われていなかったそうです。

管理監督者に該当するか否かは、権限や裁量、待遇などから判断されますが、判決では、女性の勤務実態について、「日常業務には本社の決裁が必要で、従業員と一緒にフロントなどシフト業務に入らざるを得なかった」などと指摘。「支店運営の裁量が制限され、恒常的に時間外労働を余儀なくされていた。管理監督者の地位や職責にふさわしい待遇とは言いがたい」とし、女性の管理監督者性を否定。その上で、労働基準法に違反するとして、未払いの残業代と懲罰的付加金の支払いを命じたとのことです。

いわゆる「名ばかり管理職」が問題となった訴訟ですが、厚生労働省の通達で示された要素などを勘案して判決が下された形になっています。通達の内容は確認しておきましょう。

〔参考〕いわゆる「名ばかり管理職」に関する通達
<多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について(平成20年基発第0909001号)>
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/09/dl/h0909-2a.pdf
<上記の通達の内容を含む厚生労働省のパンフレット>
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/kanri.pdf