厚生労働省から、新着の通知として、「夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について(令和3年4月30日保保発0430第2号・保国発0430第1号)」が公表されました(令和3年5月12日公表)。

夫婦共同扶養の場合(いわゆる共働きの場合等)における被扶養者の認定については、令和元年に成立した健保法等の一部改正に対する附帯決議として、「年収がほぼ同じ夫婦の子について、保険者間でいずれの被扶養者とするかを調整する間、その子が無保険状態となって償還払いを強いられることのないよう、被扶養認定の具体的かつ明確な基準を策定すること」が付されていました。
これを踏まえ、これまでの通達(昭和 60 年通知)を廃止することとし、新たな取扱基準を定めた通達を発出したということです(適用は、令和3年8月1日から)。

新たな取扱基準のポイントは、次のとおりです。
●夫婦とも被用者保険の被保険者の場合には、以下の取扱いとする。
(1) 被扶養者とすべき者の員数にかかわらず、被保険者の年間収入(過去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだものとする。以下同じ。)が多い方の被扶養者とする。
(2) 夫婦双方の年間収入の差額が年間収入の多い方の1割以内である場合は、被扶養者の地位の安定を図るため、届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とする。
(3) 夫婦の双方又はいずれか一方が共済組合の組合員であって、その者に被扶養者とすべき者に係る扶養手当又はこれに相当する手当(以下「扶養手当等」という。)の支給が認定されている場合には、その認定を受けている者の被扶養者として差し支えない。
なお、扶養手当等の支給が認定されていないことのみを理由に被扶養者として認定しないことはできない。
(4) 被扶養者として認定しない保険者等は、当該決定に係る通知を発出する。当該通知には、認定しなかった理由(年間収入の見込み額等)、加入者の標準報酬月額、届出日及び決定日を記載することが望ましい。
被保険者は当該通知を届出に添えて次に届出を行う保険者等に提出する。
(5) (4)により他保険者等が発出した不認定に係る通知とともに届出を受けた保険者等は、当該通知に基づいて届出を審査することとし、他保険者等の決定につき疑義がある場合には、届出を受理した日より5日以内(書類不備の是正を求める期間及び土日祝日を除く。)に、不認定に係る通知を発出した他保険者等と、いずれの者の被扶養者とすべきか年間収入の算出根拠を明らかにした上で協議する。
この協議が整わない場合には、初めに届出を受理した保険者等に届出が提出された日の属する月の標準報酬月額が高い方の被扶養者とする。
標準報酬月額が同額の場合は、被保険者の届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とする。なお、標準報酬月額に遡及訂正があった結果、上記決定が覆る場合は、遡及が判明した時点から将来に向かって決定を改める。
(6) 夫婦の年間収入比較に係る添付書類は、保険者判断として差し支えない。

その他、「夫婦の一方が国民健康保険の被保険者の場合の取扱い」、「主として生計を維持する者が健康保険法第 43 条の2に定める育児休業等を取得した場合の取扱い」なども定められています。

夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定は、令和3年8月以降は、この新しい取扱基準に基づいて行われることになりますので、各企業におかれましても確認しておきたいところです。

詳しくは、こちらをご覧ください。
<夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について(令和3年4月30日保保発0430第2号・保国発0430第1号)>
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T210512S0010.pdf

 

※無断転載を禁じます