死亡した人(被相続人)の配偶者が自宅に住み続けることができる権利「配偶者居住権」の創設を柱とする「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、国会にその法案が提出されました(平成30年3月13日提出)。施行時期は未定(公布後政令で規定)。

この改正法案は、高齢化の進展等の社会経済情勢の変化が進むなか、遺族として残された配偶者を保護することなどを目的とするものです。

具体的には、相続が開始した場合における配偶者の居住の権利及び遺産分割前における預貯金債権の行使に関する規定の新設、自筆証書遺言の方式の緩和、遺留分の減殺請求権の金銭債権化等を行うものとなっています。

成立すれば、昭和55(1980)年以来の相続分野の抜本的改正となります。

今後の動向に注目です。

法案の内容については、こちらをご覧ください。

<国会提出主要法案第196回国会(常会)/民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案>
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_0021299999.html

〔参考〕同日に、「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案」も閣議決定され、国会にその法案が提出されています。

この法案は、認知症や精神障害により判断能力が欠ける人を支援するための成年後見制度について、制度を利用すると同時に失職したり、資格取り消しとなったりする「欠格条項」と呼ばれる規定を廃止しようとするものです。

民法については、債権関係の規定の改正(時効の見直しなど)がすでに決定しており、平成32(2020)年4月1日から施行されることになっています。

これに加えて、さまざまな抜本改正が行われることになりそうです。