業務災害による病気や怪我で3年以上療養を続ける労働者に対し補償金を支払い解雇ができる『打ち切り補償』を巡り、東京の私立大学を解雇された元職員が地位確認を求めた訴訟の上告判決で、最高裁は8日、『病気やけがで休職中の労働者の療養費を、使用者ではなく、国が労災保険制度で負担していても、解雇できる場合がある』との初判断を示し、解雇を無効とした2審判決を破棄し、東京高裁に差し戻しました。
労働基準法は業務上のケガや病気で療養中の解雇を原則禁止していますが、使用者が療養費を負担し、療養を始めてから3年が過ぎても治らない場合、賃金1200日分の「打ち切り補償」を支払って解雇できると規定しています。今回は、大学側が療養費を補償せず、労災保険に基づく保険給付が支給を受けている場合に解雇ができるかが、争点でした。
最高裁は、判決理由で「労災保険の給付金は、療養費に代わるものと言える」と指摘し、「療養開始後3年が過ぎても治らない場合、打ち切り補償の支払いで解雇できる」と判断しました。